1月末のある日、ある特徴的なビジネスプランコンテストの存在を知った。それは、エントリー資格が女性に限定されているコンテスト。なるほど、なかなか面白そうではないか。
…ということで 2 月 19 日、丸ビルホールで行われた
フジサンケイ女性起業家支援プロジェクト
Woman'sビジネスチャレンジコンテスト2005 supported by大和証券グループ
受賞者発表会・パネルディスカッション
に出席した。
【コンテストのねらい】
今回のコンテストの主催は産経新聞社、サンケイリビング新聞社。共催は大和証券グループ。企画趣旨としては「日本を元気にすること」が掲げられている。女性が起業する動機には 「かなえたい夢がある」「女性を応援する企業を立ち上げたい」「地域のために役立ちたい」 などが多いようだ。女性起業家たちの高い意識やチャレンジ精神は、日本経済を活性化させるパワーとして働き、同時にその姿勢を広く伝えていくことが新たなパワーを生むきっかけとなるだろうという意図のもと、全国に募集をかけたところ、 1563 名ものエントリーがあったという。具体的にその内訳をみてみよう。

今回紹介された女性起業家たちの事業プランに見出すことができた彼女たちの共通点。それは、日々の生活から生まれた些細な疑問や問題点を自分の手で改善することで、より豊かな生活を送りたいという繊細な発想が起業のきっかけとなっていることだった。
【息子への愛を事業に】
13 名の入賞者の中で頂点に立ったのは、筧美貴さん( 38 歳)。ビジネスタイトルは「障害児用の玩具及び訓練用具、介護用品の開発、製造、販売」。
これまでの障害者用の福祉用品は機能性重視で、 デザイン性の面ではまだまだ味気ないものが多かった。そしてそれは障害児用のおもちゃでも同様。 「機能性+デザイン性、ファッション性が実現できれば、介護訓練はもっと生活に溶け込むのではないかと思う」 と筧さんは言う。そして実際に楽しみながら介護訓練できるグッズを商品として開発した。 |
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左図は実際に筧さんが見せてくれた商品の一つを再現したものである。これは握る練習をするために開発されたおもちゃで、全体は柔らかい布でできている。中には鈴が入っていて、耳でも楽しめるという。カラフルな色使いは癒しの効果をもたらす。筧さんの願いは、「こういった商品が一般のおもちゃ屋さんに置かれるようになって、障害というものが普通に認められるようになること」。今後はネットによる販売を行ったり、病院にサンプルを置いたりすることで広げていくという。 |
筧さんがこのビジネスプランを思いついたのは、4歳の脳障害を持つ息子さんとの生活がきっかけだった。息子さんの成長を一緒に楽しみながら見守っていきたいという母親としての愛情が一人の女性起業家を誕生させたの である。 |
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【女性3人 vs 男性1人の壮絶なトークバトル?!】
会場全体が一番の盛り上がりを見せたのは、『先輩女性起業家からみた期待される女性起業家とは』と題されたパネルディスカッションであった。進行役にはテレビでもおなじみの阿川佐和子さん。パネラーとしては、株式会社ピーチ・ジョン代表取締役社長の野口美佳さん、最優秀賞を受賞した筧美貴さん、大和総研で新規産業調査本部長を務めている鈴江栄治さんが壇上へ。
開始早々、阿川さんは唯一の男性パネラーである鈴江さんに 「女性らしさとは一体何?」 「女性が社会進出することをどう思うか」 といった鋭いキラーパスを出し始めた。女性3人対男性1人という状態の中で、たじたじとなりながらも、必死に返答をする鈴江さん。追い討ちをかけるがごとく、さらに突っ込んだ質問で攻める阿川さん。独自のビジネススタイルをさばさばと話す野口さん。表面的ではなく、かゆいところにもちゃんと手が届いたこのディスカッションは、来場者の笑いを誘い、終始明るい雰囲気で進められた。

最後に野口さんと鈴江さんはそれぞれ、 「これから商品が売れ始めた時が一番大変だと思うが、社員の分担が鍵」、「家庭との両立は大変だと思うが、野口さんの成功モデルを参考に自分なりの答えを出してください」と語り、筧さんへのアドバイスとした。筧さんはそれに対し、 「原点である息子への愛をいつまでも忘れない」 と返し、今後の事業への意欲を示した。
【男女がビジネスライバルとして切磋琢磨する社会に】
イベント終了後、来場者の女性2人組にインタビューをしてみた。一般の会社員だというお二人は、偶然サンケイリビングの記事で今回のイベントを知り「女性が会社を興すということは自分にない感覚なので、ちょっとのぞいてみようと思った」という。また、実際に女性起業家をみた感想として「非常にパワフルな印象を受けた。その表現力の豊かさというのは、もしかしたらすべての女性が持っているのかもしれないと気付かされた」、「ターニングポイントがあれば、自分も起業するかもしれない」と語ってくれた。
今回のコンテストの主役は女性。彼女たちの表情を目の当たりにした今、私は 「日本を元気にする」 という主催者側の狙いは正解だったのではないかと思っている。男性起業家が一般的にITや投資家として日本経済の大きな流れを作っていくとしたら、対する女性起業家は、自分の身近なところから変化をもたらし、徐々に波紋を広げていくといった印象を受けた。
全体的に非常に満足のいくコンテストであった。しかし一つだけ、個人的に残念に思う点があった。それは来場者の男女比。約 300 人の来場者の中に男性の姿を探したが、なかなか見つけることはできなかった。社会という大きな枠組みでは、女性の社会進出を受け入れる構えができつつあるものの、その社会の中で生活する個人単位に目を移すと、まだまだその準備は整っていないということなのだろうか?いや、私は必ずしもそうとは思わない。今回一緒に取材に行った Gallege の男性スタッフは、「取材を通して、女性や社会の新たな動きを知るきっかけになった」と、彼なりの発見と満足を得られたという。大事なのは、 男性に女性がビジネスのライバルになり得ることを実感してもらうきっかけ作りをしていくこと なのではないだろうか。そういった意味で、今回のようなコンテストが今後もますます活発になることを願っている。
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